榎本耕一 写真展 「わたくしは鳥に抱き竦められて生きている」 

KOICHI ENOMOTO  PHOTO EXHIBITION   “Shadows of birds”

アーティスト・ラン・スペース soda は、2月8日(土)から3月1日(日)まで、 榎本耕一の写真展「わたくしは鳥に抱き竦められて生きている」を開催いたします。画家である榎本耕一は、これまで、物語と現実、言葉とイメージ、過去と現在と未来などが、複 雑に重なり合いながら一つの総体として現前するような絵画作品を制作、発表してきました。 sodaは、2018年に企画したグループ展「画家の写真展」に榎本を招待し、そこで榎本は初の写 真作品4点を発表しました。 今回の個展は「画家の写真展」の先に位置するもので、榎本による写真作品で構成された初めて の個展となります。 写真によって「網膜になじむイミテーション性を獲得できれば」と語る榎本の新しい写真作品は、 保留され浮動する「芸術の気配」として立ち現れてくることでしょう。 この機会に、榎本耕一の写真による最新作を是非ご高覧ください。

 

Artist Run Space soda(kyoto)hold a photo exhibition by painter Koichi Enomoto. This time, KAYOKOYUKI komagome,Tokyo will be the venue.

Enomoto was born in Osaka in 1977 and graduated from Kanazawa City University of Arts and Crafts. Until now, he has published paintings with the theme of stories and reality,words and images, past, present, and future.

soda unveiled four of Enomoto’s first photographic works at a group exhibition “Photographs by 7 Painters” in 2018. This is the first solo exhibition composed of photographic works by Enomoto.

Enomoto says, “If the picture could get the imitation on the retina”. This exhibition presents Enomoto’s latest work that appears as suspended and floating “sign of art”.

「僕は鳥に抱きすくめられて生きている」、という言葉が唐突に頭に浮かんだ。

鳥を飼っているせいばかりではない。

ただ暮らしているだけで、僕はあらゆる場所に鳥たちの生きている気配を感じている。鳴き声、飛ぶ姿、水浴び。

少し前、アメリカの大統領はイランの要人を殺した。

戦争の気配を感じた。

ある小説では、悪い予感を「黒い鳥が胸を横切るよう」と形容した。

爆音のかわりに、良くないものの気配だけが、飛ぶ鳥の影のように何度も行き来する。

数年間、僕をまじめさへの要請のようなものが捉えていた。

生来の下品さはたいしたことのないものになっていた。

期待する大爆笑は、皮肉によって骨を抜かれた。

本当の大爆笑は、凝り固まった現実の骨組みを軟化させるという進み行きをとるはずであったが、しかし現実の骨組みは最初から軟化していた。だからまじめさがあらわれた。

僕は精度の高い昆虫標本を作るようにして、現実に起こるひとつひとつ、ひとりひとりに対応していくことをこころがけたいという気になった。体系化という言葉に距離を置く。

それは視覚芸術を作る材料を触る手付きに影響する。ピンセットを使うのではなく、指をピンセットにするのだ。

新しいレンズは顕密な厚みを持って埃ひとつにも厳しい。見ることにおいて正確であるために、思考が邪魔しないように、ひとつひとつを勝手にまとめないために、ブレないために、透明のレンズは硬い。レンズという物体が僕に与える実感は、そのような言葉になる。

生きている瞬間瞬間、僕は鳥たちにだきすくめられ、言語の無い存在を感じるときにすこしだけ、言語、論理でできた顕密な地平の奥のほうがかすむ。

鳥の、動物の、芸術の気配を、画面に定着させるための、技術の確かさについて考える。確かさの精度を上げ、正確に表現するために。あるいは、正確に間違うために。

その間、僕はずーっと笑っている。

 

榎本耕一

2020  2/8(sat)〜3/1(sun) Open on Fri, Sat and Sun   期間中の金土日  12:00 - 19:00 open  2/8(sat) opening reception 18:00~19:30

venue :soda  東京都豊島区駒込2-14-14 (@KAYOKOYUKI)

Curated by Kazuhito Tanaka (soda)

Cooperated by TARO NASU

本展覧会はsodaがKAYOKOYUKIを借りて開催しました。